古代マケドニア テトラドラフマ銀貨

フランクリンミント社鑑定済み。 “大王” の称号をもつ、古代マケドニアのアレ クサンドロス (アレキサンダー)3世(紀元前356～紀元前323）は、世界史を塗り替えた征服者であり、その影響は死後何世紀にも及びました。 彼はマケドニアのフィリッポス2世の子です。マ ケドニアの銀鉱山の開発を進めたフィリッポス2世は、当時、ペルシャ帝国のダレイオス1世（大王）を除けば世界でもっとも力があり、かつ裕福な統治者でした。紀元前336年にフィリッポス2世が暗殺されると、息子のアレクサンドロス3世が若干20歳で父の跡を継ぎます。彼は継承した富をペルシャ征服のための軍事費用に費やし、ついにはペルシャを碳って父の目的を達成しました。もしアレクサンドロス大王がバビロンで熱病に冒されて、紀元前323年に短い生涯を終えなければ、世界の人々を一つの大きな帝国に結集させることで、それ以上に大きな偉業を成し遂げていたかもしれません。 アレクサンドロス大王は、神託により神の子と呼ばれ、自らも神秘的な信心をもってこれを確信するにいたりました。これは予期せぬことではありませんでした。というのも、彼はヘラクレスの子孫であると主張する家柄の出身であったからです。ヘラクレスは、ギリシャの神々のうちの最高の支配者であるゼウスの息子であり、ギリシャ神話最大の英雄として「十二の難行」を行ったことで知られ、死後に神々の仲間入りを果たして崇敬されました。 アレクサンドロス大王は、このヘラクレスとの血縁から神の子すなわちゼウスの息子とされたのです。 ヘラクレスとアレクサンドロス大王との関係は、大王の死後も数世紀の間、マケドニアの支配者たちの記憶から消え去ることはありませんでした。そうした統治者たちが発行したテトラドラクマ銀貨（紀元前158～149）では、表面に女神アルテミス(オリュンポス12神のひとりで、狩猟を司さどる女神）が刻まれており、裏面にはヘラクレスの棒のシンボリックな表象が見られます。ヘラクレスの棍 棒とは、ヘラクレスが「十二の難行」で敵を倒すために、オリーブの木の枝から切り出して作ったとされるものです。 テトラドラクマ銀貨に描かれたこうした図様は、アレクサンドロス大王の強大な影響力のもとでその跡を継いだマケドニアの統治者たちが、自分たちも同じようなパワーをもっていることをコインで示唆しているのでしょう。